Coinhive事件 最高裁弁論について
ずっと注目していたCoinhive事件、12月9日に最高裁第1小法廷で上告審弁論が開かれた。
「技術開発を萎縮させる」「無断利用は明らかに違法」 Coinhive事件上告審弁論 – ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2112/10/news067.html
Coinhiveとは何か、Coinhive事件とは何か、まずおさらいしておこう。
まず、Webサイトの運営者がCoinhiveをWebページに埋め込む。そのWebページを訪問した閲覧者のPCで暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)が行われ、運営者がマイニングの利益の7割を受け取ることができる、というものであった。現在はすでにCoinhiveのサービスは終了している。
広告を表示させることなく、Webページが閲覧されることで利益が発生するということで、Coinhiveに注目していた人もいた。そして、Coinhiveを設置していた21人が全国の警察に検挙されたのが、Coinhive事件である。
この事件での罪名は、不正指令電磁的記録に関する罪(刑法168条の2および168条の3)。
検挙されたうちの一人のWebデザイナーの男性が裁判を受けている。男性は、2018年3月に横浜簡易裁判所で罰金10万円の略式命令を受け、これを不服として異議を申し立てる刑事裁判を起こした。2019年3月、横浜地方裁判所で無罪判決が言い渡された。しかし、横浜地方検察庁が判決を不服として東京高等裁判所に控訴。東京高等裁判所では罰金10万円の逆転有罪判決。男性が上告、という流れだ。
弁論の内容に関する記事やツイートを読んで、感じたことを以下に挙げる。
検察「常識でわかりませんか?」
→常識で判断すれば、法律は要らなくなるんじゃない?
検察「自分が利益を得るために他人のPCを無断利用する行為が違法なのは、常識に照らし明らかだ」
→PCは、どんな処理でも電力を利用する。興味もない広告を表示するのにも電力を使う。検察側の言い分によれば、表示させることで利益を得ている広告も違法、ということになるんじゃないか?
検察「たとえ被告人が社会のためになるような情報を発信するWebサイトを運営していたとしても、社会のために他人の家を勝手に使っていいわけがない」
→Webサイトを表示させるのに電力を使うけど?この言い分によれば、Webサイトは全てアウトということになると思うが?
検察「マイニングは社会問題である」
→本件とは関係のない話だよね?
検察「coinhiveはcryptojacking(クリプトジャッキング)と言われ世界各国で問題になっている」
→cryptojackingは、「他人のWebサイトを不正に改竄して、マイニングツールを埋め込む行為」というのが正確な定義だと思う。今回の事件は、自分でマイニングツールを設置しているよね?
あらゆるサイトでcryptojackingの説明がされているが、「他人のWebサイトを不正に改竄して」という部分がなかったりする
検察「これが無罪になっては日本は格好の草刈り場になる!」
→これが有罪になっては日本から新技術が生まれなくなる!
検察「人々は、怖くてインターネットに繋げなくなってしまう」
→新技術開発者は逮捕されるのが怖くて、新技術を開発しなくなってしまう
検察「Coinhiveは通常表示されない言語で記述されており、ユーザーの同意も得ていない。被告人はCoinhiveの使用を隠そうとしていた」
→ソースコードは通常表示されない。表示されて目に見える部分だけが全てではない。バックグラウンドで動くプログラミングなどいくらでもある。
日本が世界から取り残されないよう、正しい判決を願う!